眠れぬ夜は君のせい
けど、現実は違う。

親友のフリをして、恋人のフリをして、彼と彼女はつきあっていた。

私に隠れて。

私に秘密で。

「――寂しい…」

たまらなくなって、呟いた。

「萌波?」

その声に視線を向けると、
「衛藤さん…?」

閉めたはずの窓。

その窓は開いていた。

冷たい夜風が部屋に入ってくる。

窓枠に、衛藤さんが座っている。
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