渇いた詩
久弥と出かけるのはこれで2回目。


しかも前回は付き合う前だからこれは初デートになるのか。


「行く場所もう決めてるけど、いい?」


「あっ、うん」


あたしが頷くと久弥は車を発進させた。



着いた場所は意外にも有名デパートだった。



「久弥……あの、まずくない?」


「何が?」


何がって……。



こんなたくさんの人がいるようなとこ、久弥には大変じゃないのかなって。



久弥はあたしの気持ちがわかったのか、あたしの腰に腕を回した。



「大丈夫、桜が気にすると思ってこの時間帯貸し切りにしたから」


貸し切り!?



久弥は絶対にただのバンドボーカルじゃない。



普通そんなことできないでしょ!?
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