ありのまま、愛すること。
翌朝は3時半に起床し、遠くプレイヴィン州の「ソビン・スワイサムサップ小学校」へ給食の視察へ行きました。

子ども一人分、米100グラム、豆40グラム、これを一緒に炊き上げます。

おかずは魚缶詰20グラム、肉10グラム、塩3グラム。これでもあまりに少ないため、水で薄めてカレーのようにして、ごはんにかけて食べます。

私たちのつくった小学校でWFPが、ここでは既に給食を支給してくれていました。

毎日同じ内容。

決して美味しそうではありませんが、子どもたちは嬉しそうに食事をしています。

ふと見ると、食べようとせず、自分の分をビニール袋に入れている子がいました。聞いてみると、家で待っている弟妹といっしょに食べるそうです。

友だちがいつものことのように自分の分を残し、彼女のビニール袋にご飯を入れます。

自分たちさえ1日1食もとれずお腹がすいているだろうに、その光景は、真の豊かさを教えてくれるものでした。

 ─分け合えば余る。奪い合えば足りない─

 ─幸せは自分一人だけのものじゃない。隣の人と一緒─

そんな真実を、彼らは自然体のなかで教えてくれました。

カンボジアを支援させてもらえること。彼らのほんの少しだけ役に立てること。彼らと共にほんの少しだけ生きられること。

私はこれらのことには、心から感謝したいのです。

そのような、多分野にわたる私の活動が認知され出したからなのでしょうか、あるとき学生のセミナーでこんな質問をされたことがあります。

「ワタミは外食で儲けて、世のため、人のためにそのお金を使う会社なのですね?」

確かにワタミは、外食産業が主たる業務ですが、しかしこの学生の発言は、ワタミを正しく表現したものではありません。

ワタミは、「ありがとう」をたくさん集めて、その集める行為を通じて、働く一人ひとりが人間性を高めていく会社だからです。


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