ありのまま、愛すること。
ちなみに、私が、大学、それから社会人1、2年目くらいのころは、その祖母と二人で暮らしていました。

父は私が高校1年生のときに56歳でもう一度結婚し、姉は私が大学生のとき嫁いだことで、二人とも家を出ていたからです。

祖母も、私を本当に好きでいてくれました。

「最期はあなたの胸で息を引き取りたい」と言っていた祖母は、1989年7月6日に93歳で、肺がんで亡くなりました。

当時29歳で、まだ会社を興したばかりの私は、なかなか祖母の病床を見舞いに行けませんでした。

そんななか、「この日は絶対に行こう」と決めていた日に病院に見舞うと、祖母はすでに昏睡状態に陥っていたのです。

「おばあちゃん、心配しないでいいよ、僕はここにいるから」

そういって抱き寄せた私の腕のなかで、彼女は静かに、静かに息を引き取りました。
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