山荒の鳴く夜
それにしても…。

夜が明け始めた京の街を歩きながら、椿は物思いに耽る。

あの人外、山荒でないのならば何者なのだろう。

幕末の動乱に乗じて幕府も志士も皆殺しにし、人間に取って代わる。

奴はそんな事を言っていた。

それは人の世を人外が牛耳るという事なのか。

同じ種族でありながらいつまでも一枚岩になりきれず、戦と殺戮を繰り返す人間に対する警鐘のつもりなのか。

そう考えると、化け物とはいえあの人外の言い分も一理あるように思えた。

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