真っ赤な果実
第3章

別に同情なんかじゃない




澤村大和、15歳。
只今、準備室お掃除中…。



「っざけんなよ。」


怖い顔で掃除をしている大和は、見ての通り好き好んでやっているわけじゃない。


「うわー。
かつらだー。
女子の制服だー。

劇用だな。きっと。」


棒読みをした後、ウィッグをかぶり鏡をみてみる大和。


「お。俺ってば~!!
姉貴そっくりぢゃん☆」


…………………。
ウィンクしてギャグを狙うが、周りに誰もいなかったことを思い出し、顔が赤くなる。



「くそつまんねぇ。
なんで俺だけこんなことを…。」


ウィッグを床に投げつけ、泣き真似をしてみる大和。



「……誰かつっこめよ。」



誰もいないのに独り言をいいながらダラダラ掃除している。





その理由は大和が達成したある記録のせいだった…。




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