午睡は香を纏いて
神殿って、神様のために仕えて人々の幸せを祈る、とか純粋な場所なんじゃないの?


カインの話通りだと、利欲の為に本来の順列が乱されているってことになる。


「嫌な話だろ? でもそれがもう数十年も常識としてまかり通ってるんだ」


口の片端を小さく上げて、カインは皮肉に笑った。


「神殿は、大きく三つに分かれる。
祭・文・武、だ。

まず、祭っていうのは、祭事だな。
洗礼から婚姻、葬儀。
収穫祭を始めとした季節の祭もそうだ。
巫女は祭事に欠かせない存在だから、主にここに属している。
地方にある礼拝堂の神官も、ここ出身だな。それの長を大神祭官という。

次に文。
ここは神学の考察から薬学まで、様々な勉学を行っている。
薬学なんかは特化していて、優秀な医官を多く輩出している。
巫女も薬学や人体学は学び、その中には神殿内にある薬医殿で働く者もいる。
長は大神文官だ」


紙は神殿の構成図なのらしい。
該当位置を指で指し示しながらカインは丁寧に説明してくれる。

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