午睡は香を纏いて
摘んでみれば、透明な塊になった水宝珠はきちんと持ち上がった。
重力にも反応するのか、雫形に形を変え、ぽたんと手の平に落ちた。
「赤ん坊の手に一滴垂らすだけで分かる。便利な判別法だろ」
カインが瓶の口をあたしに向けた。
塊をそこに落とすと、それはまたさらりとした液体に姿を変えた。
「まるで手品みたい。そうだ、これが対珠の元でもあるんだよね?」
「ああ、これを力を込めて練り上げていくんだ。
上手くやらないと、いつまでたっても完成しない」
小瓶を仕舞って、カインは机の紙に視線を落とした。
「で、話は戻るけど、検査によって認められた者は十歳までに神殿入りしなくてはならない。
病を得ている者・家督を継ぐ者以外は例外なく入ることになっている。
神殿入りした者は力の度合いと、生家の身分によって官位が分けられるんだ。
その後の昇格度合いも、生家の家格による」
「身分? そんなの関係あるの?」
「ああ。例えば、大貴族の次男が神殿入りすることになったとして、その子が農村出の子供以下の官位になることを良しとする親はいない。
それに、この国での神殿の位置は政治的にも重要なんだ。
その神殿の重職に我が子を、という考えは、貴族の中では至極当たり前なんだよ」
「じゃあ力があっても、身分が低かったら官位も低いってこと?」
「ああ。どれだけ力を発露させても、身分によってはずっと下位神官のままだな」
重力にも反応するのか、雫形に形を変え、ぽたんと手の平に落ちた。
「赤ん坊の手に一滴垂らすだけで分かる。便利な判別法だろ」
カインが瓶の口をあたしに向けた。
塊をそこに落とすと、それはまたさらりとした液体に姿を変えた。
「まるで手品みたい。そうだ、これが対珠の元でもあるんだよね?」
「ああ、これを力を込めて練り上げていくんだ。
上手くやらないと、いつまでたっても完成しない」
小瓶を仕舞って、カインは机の紙に視線を落とした。
「で、話は戻るけど、検査によって認められた者は十歳までに神殿入りしなくてはならない。
病を得ている者・家督を継ぐ者以外は例外なく入ることになっている。
神殿入りした者は力の度合いと、生家の身分によって官位が分けられるんだ。
その後の昇格度合いも、生家の家格による」
「身分? そんなの関係あるの?」
「ああ。例えば、大貴族の次男が神殿入りすることになったとして、その子が農村出の子供以下の官位になることを良しとする親はいない。
それに、この国での神殿の位置は政治的にも重要なんだ。
その神殿の重職に我が子を、という考えは、貴族の中では至極当たり前なんだよ」
「じゃあ力があっても、身分が低かったら官位も低いってこと?」
「ああ。どれだけ力を発露させても、身分によってはずっと下位神官のままだな」