午睡は香を纏いて
どうしてこういう回りくどい言い方をするかな、この人は。
脱力したのを愉快そうに見て、カインは続けた。


「神妃になる巫女が逃げたなんて醜聞、公にできないだろ。
だから、山賊に全ての責任を押し付けたんだ。
ちなみに、サラが逃げ道に使ったのが、俺なんだけどな」

「?」

「俺のいる部屋にいきなりやって来てさ、神殿から逃げ出すからどこかに転送しろ、って。
あの時から無謀だったな、そういや。
俺とサラにはそれまで接点はなかったんだ」


カインの話は、こうだ。



ある時、リレトの発案でオルガの山賊討伐作戦が行われることになった。
神武官で構成されている神武団の団員殆どがこの作戦に参加することになっていたのだけど、
それを率いる立場の一等神武官の一人が異を唱えた。

これがカイン。
カインは作戦に異常な執着心を見せるリレトを疑問に思ったのだそうだ。


「あいつはパッフェル伯爵家の馬鹿息子、えーと、ゼーム、だったかな?

そいつに作戦を入れ知恵していたんだ。
ゼームは親の権力と馬のような体力のみで二等神武官まで昇格していたけど、自慢できる武勲を欲しがっていた。
操るにはちょうどいい人材だったんだろうと思う」
「リレトは元々神文官で、いつも蔵書庫の隅っこで埃を被った本ばかり読んでいたんだ。
それが急に神武官に席を代え、気付けばゼームの後ろについていた。
まさか禁忌をモノにしたとまでは分からなかったけど、何かある、と思わせるには十分の怪しさだった。
オルガの民は実質無害に近い存在だったし、無理に討伐しなくてもいいだろう、と言ったんだ」


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