午睡は香を纏いて
自分の許容範囲外のことが起こると、あたしは誤作動を起こしてしまう性質なのらしい。
口をついて出た言葉は、後から考えても間抜けとしか言いようがないくらい、意味不明なことだった。

しかしそれはカインの何かを壊してくれたらしい。


「何、それ。俺が噛み千切ったってこと? 俺ってそんなに危ない奴?」


くすくすと笑いだしたカインは、腕を解いてあたしを解放してくれた。
というよりあたしの必死の台詞がツボを突いたらしく、体を折って笑っている。


「耳、あるよ。だ、大丈夫」


目尻に涙を浮かべて言うカインの背中を、怒りを込めてばしんと叩いた。
カインが笑い出したことでさっきまでの雰囲気が一掃されて、それに安心したら怒りが沸々と湧いてきたのだ。
これくらいしても許される、絶対。


「『だ、大丈夫』じゃないし! びっくりしたんだよっ?」

「わ、悪かった。だからちょっと待って……、くっ、あはは」


そんなにウケなくてもいいと思う。
と言うか、笑いすぎだし。

漠然と、カインは人をいじって喜ぶタイプだろうなと思っていたけど、完全に確定。あたしで遊んでたんだ。

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