午睡は香を纏いて
シルと呼ばれた男の人に案内されて、二階の部屋へと向かおうとした。


「ああ、そうだ。セルファ」

「ん? なに、マダム」


シルヴェーヌさんの声に、セルファが足を止めて振り返った。


「あの手負いの獣は、元気なのかい?」

「……ああ。山で元気にやってるよ」

「そうかい」


ひょいと肩を竦めて、シルヴェーヌさんは手を振った。

「それならいいんだ。さあ、部屋に行きな」

「ああ。さ、行こうか、ユーマ」


二人の会話を見ていたあたしの肩をぽんと叩いた。


「獣って、動物か何かを保護したの?」


並んで階段を上りながら訊くと、セルファは愉快そうに笑って頷いた。


「そう。けっこう間抜けなやつを」

「ふう、ん?」


犬か何か? でも山に放したってことは、別の動物だろうか。
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