午睡は香を纏いて
以前のように、手際よく整えていくセルファ。

それから、ゼユーダの慣習だという金細工のブレスレットを両腕に幾重にもつけ、首にも様々な石のついたネックレスを重ね付けした。
耳にはちぎれそうなくらい重たい金環のイヤリング。
編み上げのサンダルを履いたところで、衣装は終了。

続けて念入りなメイクを施された。
キャンバスにでもなったのかというくらい、様々なものを顔にのせた。
髪にも香りのいいオイルをなじませ、櫛を通す。


「あ、そうだ。セルファ、あたしの髪、短いけどいいの?」

「ああ、ゼユーダは巫女姫昇格の際に一旦髪を切る風習があるんだってさ。世俗と切り離れるって意味合いらしいよ。
カインからの受け売りだけど」

「ふうん。あ、痛い!」

「絡まってるからなー。カサネ、髪の手入れが甘いよ。
毛先がぱさぱさじゃん」

「す、すみません……」


これでもかというくらい櫛削られ、最後に額にかかるように石の嵌った金のサークルをのせられた頃には軽い疲労感を覚えており、、もうどうにでもして、といった心境になっていた。


「おしまい、っと。ふむ、なかなかいいよ、カサネ」 


硬い木の椅子に深く座りこんだあたしを見下ろして、セルファが満足そうに頷いた。


「お褒めに預かり光栄です……」

「あとは、もう少しキリっとした表情でいてくれる?
そんな腑抜けな顔つきはダメだよ」

「善処します……」

「ほらー、そんな風にだらけてないでさ、向こうの姿見で自分を確認してみなって。
そしてオレの腕に驚けよー」


ほらほら、とセルファに促されて姿見の前に移動した。
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