紅蒼ノ魔女(仮)

橙魔

「ん?」



とある日の昼間。


僕は城内をふらふらと歩いていた。


ここはとても広いのでまだまだ行っていない場所が沢山ある。


暇潰しに、と部屋を出てみたのだ。


今日も空は晴れていて、暖かい気候。


こちらに来てから雨が降るのを見ていない。


といっても明日でちょうど一週間なんだけど。


長かったのか、短かったのかは微妙なところだが。


日がどんどん迫ってきていることにかわりはない。


止めることができずに戦争が起きてしまったら、サイリ達の結婚式が潰れてしまったら、なんて考えてみるけど実際鍵は僕が握っている訳で。


そんな結果になったとしたらそれはきっと僕がやったこと。


僕はまだどうするのかは決めていない。


その時が近くなったら、面白くなる扉を開けようと思う。


そんなことを考えていると魔力の気配がした。



「なんだ?」



トラかな?


いや、違う。


これはトラの気配ではない。


修行であれだけ感じたんだ。


間違えるはずがない。


外が気になり近くの窓から覗いてみると裏門が見えた。


そこから少し視線をずらし森を見つめる。


そして目を細めた。



「あっちから感じるね。」



感じたことのない魔力。


僕の予想があたっていればおそらく…



「いいタイミングだね。

僕も一度は会っておきたいと思っていたんだ。」



左手で右手首を撫でる。


そこについているリボンをほどき、緩く縛りなおした。


さあて、誰が待っているのかな。


わざわざ歩いていくんだから、まさか、つまらないなんてことはないよね。


ゆっくりと止まっていた足が動き始める。


目的地は裏の森。



「前と門番さんかわってないといいな。」



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