【番外編更新中】鬱気味お嬢様の甘い諸事情。

*絶望な瞬間



ゆっくり目を開けると……

目の前に見えるのは、真っ白な見慣れない天井。

ここが病室だということが分かるのに、さほど時間はかからない。



「朱里…っ!!」



ベッドの脇には、お父様と亜美の姿があった。



あたし……生きてたんだ。



あたしの右手は、お父様の手によって強く握られている。

一気に寒気が走った。



「離してっ」



バッと手を払うと、何故か俯いてしまったお父様。


ちょっと胸が痛んだけど……

こんな下劣な人。


ほおっておいていいわよね。



ふっと気になったのは……

零がいないこと。


なんで、嘘つき女がいて……

零はいないの?


きょろきょろと辺りを見回したものの、病室にあたしたち意外人がいる様子はない。



「零は……?」





< 145 / 202 >

この作品をシェア

pagetop