四王寺学園記
「楓…、襲われそうになったら私の部屋に逃げ込んでいいからね?」
「ありがとう、薫。でも私が襲われるなんてないよ。可愛くないし。」
「はぁっ!?」
「あ、襲われちゃうのは薫だよ。薫可愛いし、綺麗だし、む、胸あるし…。」
「アンタ…馬鹿?」
「馬鹿じゃないよ。(だって薫は同じ女から見ても美人なんだから…。薄茶色の髪と瞳、羨ましいな…。)」
「…はあ。楓、小さい頃から散々言われてきたのにまさか気づいてないの?」
「ム。気づいてるよ。私がブスだってことぐらい。」
「……。」
薫は呆れた。まさか、楓がこんなにも自分の事に鈍感だったなんて。
子供の頃から楓はものすごく可愛かった。抜けるような白い肌に紅い唇、漆のような艶やかな髪。白雪姫のようだとか、地上に舞い降りた天使だとか言われてきたのに。
「アンタ、お嬢ちゃん可愛いねぇって言われて誘拐されそうになったじゃない!」
「は?そのお嬢ちゃんは薫の事だよ。」
本当は誘拐犯は”お嬢ちゃん達”と言ったのだが…。
「こんの、無自覚め!」
ぺちん、とおでこを叩く。
「いだっ!」
「もう。行くよ!無自覚娘!」
「自覚してます!ブスだって。」
「ばーか。」
「馬鹿って、って置いてかないでよぉ!」