双子月

4…親・子・友

金曜の夜。

林総合病院は慌しかった。


連絡を受けてまず1番に駆け付けたのは、朋香の両親だった。

続いて瑠璃子の両親。

そして、美穂・真朝・大輔。

隣県にいる光弘の両親は、急いで車で向かっているところだ。



光弘は手術中。

救急車で運ばれている間、意識が戻る事はなかった。



そして、駆け付けた救急隊員によって、もう1台救急車が手配された。

朋香は意識を失って倒れ込み、瑠璃子は興奮状態だったからだ。


朋香も瑠璃子も、鎮静剤を打たれて、今はベッドで眠っている。

誰も詳しい事を説明出来ない。



本人達は今、自分の意思とは別のところで戦っているのだから。

見守る皆は、ただただ光弘の無事を祈るしか出来なかった。



「有田さん、中川さん…!」


息を切らしてやってきたのは林先生だった。


「林先生…!」


呼ばれて、朋香の母親と瑠璃子の母親が振り返った。


「すみません、今日は僕は休みの日だったので、連絡が来るのが遅くなって…」


自分の担当患者が2人も事故に巻き込まれたと聞いて、林先生は慌てて病院へ駆け付けたのだ。


「そんなこちらこそ…
お休みの時にわざわざすみません…
先生、一体何があったんでしょうか…
誰も分からなくて…」

と朋香の母親が言った。



そこにちょうど光弘の両親が到着した。

手術室の前にたくさんの人が集まっていて、手術中のランプが付いている。

それを見て光弘の両親は、これは現実なのだとようやく思い知らされた。



「どなたか…どなたか、光弘の容態を…」

泣きながら光弘の母親が答えを求めた。



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