双子月
「大輔君、何か…何か知っているかい…？」

大輔は高校の時から何度か光弘の家に遊びに行っていたので、光弘の両親とは顔見知りだ。


「すみません…俺達も何も知らなくて…」

と大輔が俯いて答えた。



すると林先生が前に出て、

「この総合病院は私の親族一同が経営しています。
私は今回この事故に巻き込まれた有田朋香さんと中川瑠璃子さんの担当主治医です。
失礼ですが、ここにいらっしゃるお三方は、それぞれ面識は…？」

と尋ねた。



両親同士は面識がないようだった。


朋香と瑠璃子の母親は、娘同士が友達という事は知っているので挨拶をした。

次いで、朋香と光弘が付き合っている事も知っていたので、朋香と光弘の両親が挨拶をした。


そして、瑠璃子の両親が光弘の両親に向かって、

「申し訳ありません…
まだよくお話は分からないのですが、塚嶋君が瑠璃子を庇っていたようだと…
もう、本当に何と言えば良いのか…」


次は瑠璃子の母親が泣き崩れた。


すると光弘の父親が手を差し伸べて、


「とりあえず、お嬢さんだけでも無事で良かった…
光弘は当然の事をしたまでです。
後はあの子の生命力に期待しましょう。
私は信じています、あの子はそんなに弱くはないと…」


と、瑠璃子の母親を立ち上がらせた。


瑠璃子の父親がその肩を、光弘の父親は妻の肩をそれぞれ抱いていた。



「整形外科は私の叔父が担当です。
状況を確認させてもらうよう、看護士に取り次いできます。」


と林先生がナースステーションに入って行った。



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