双子月

10…月が乱れ揃って嵐と成す

それぞれケーキとジュースを頼んで、しばらくまったりとした時間を過ごした。


剛は元々の性格上、林先生は職業柄、他人と打ち解けるのは早かった。

最初は奇妙に思えたこのグループも何となく馴染んできた頃、光弘が交代の時間になり、私服で戻ってきた。


「じゃあ、私達はこっから別行動させてもらうね。
瑠璃子のとこには今から顔出してくるから、皆は後から来るって伝えとくね。」

「うん、よろしく~」


真朝と剛は腕を組んで、朋香達と反対側の方へ歩き出した。


さて、やっと、林先生・美穂・光弘との4人になれた。

朋香の事を様々な方面から支えてくれる人達だ。

光弘と林先生はお互い握手をした。


「いつかゆっくりお話をしたいと思っていたんですよ。
いつも朋香ちゃんから、美穂さんと光弘君の話は聞いているから。」

と林先生は微笑んだ。


美穂も光弘も同じ気持ちだ。

診察がどのようなもので、どのような話をしているのか知らない。

今日は滅多にないチャンス、2人共、出来れば1対1で林先生と話す機会を欲しがっていた。



「わぁ、アリーナ全部を使って、鏡の迷路してるみたいだよ!
すごいね、行ってみようよ!」


朋香はパンフレットを見ながらどこに行こうか、一生懸命迷っていた。


「お、良いじゃん。
行ってみようぜ。
美穂、先生、良いですか?」


「僕は良く分からないから君達に任せるよ。」


「私も瑠璃子が来るまで、2人のお邪魔にならないように付いて行くわ。」



3人共、基本的に朋香に甘い。

朋香が笑っていられるのなら、何だって構わない気がする。

まぁ、それはそれぞれの立場からの問題だ。



美穂は唯一、朋香が病気を打ち明けた友達。

光弘は、朋香に愛情を注ぐ恋人。


林先生においては、まぁ少し理由は違う。

数ある患者の中で、特別扱いをしているつもりはない。

しかし、要注意人物のチェックリストに朋香が上がっているのも事実だ。


美穂に至っても、実際に1番大切に想っているのは雫である。

そういう意味では、純粋に朋香を想っているのは光弘だけという事になるのかもしれない。



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