苦しみの(涙)
「あぁ、帰って来たのか。おかえり 菜舞露(ナムロ)。」
背筋がぞっとした。
兄者がいつもと変わらない様子で私を迎えるから、
ゴロゴロ転がってる屍を…みんなを平気で踏み越えてくるから……。
立っているのもままならない。やっとのことで意識をこちらにとどめている。目の前の光景を私のすべてが否定する。
ジリジリと後ろに下がる。
兄者がこちらへ来ようとする度
ベシャベシャ
グチャ
聴きたくもないおぞましい音がする。
こないで
そんな言葉が喉までくるが出ない。