苦しみの(涙)



血は濃く残さなければならない。



「俺たちは共にあるべき存在。だから、俺はずっと探した。消えてしまった妹を。
だが…こんなところにいたとは思わなかったが…。そして、お前のようなやつを兄と呼んでいたとは。」




龍樹の身をひょいと横抱きにする。



こんなに大きくなったのだな……。俺が目を離した内に。






「菜舞露を置いてとっとと帰れ。」



「あくまで強気な姿勢は崩さないか。」




だが…



「こちらへ来ようとしないということは、危機察知能力は優れているのか。
まるで獣だな。」



「この胡散臭い雨だけでもう十分だ。
獣だろうがなんだろうがかまうものか。」



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