苦しみの(涙)
菜舞露が欲しい
だが、俺と菜舞露の位置付けが赦さなかった。
菜舞露は俺の妹。
妹という立場で屋敷での存在を許されていたため、どれだけいとおしくても妹以上の扱いをしてはいけない。
だから、俺は優しい兄をギリギリまで貫いた。兄としてでも菜舞露が慕ってきてくれることはこの上なく嬉しかった。
それ以上を望んではいけない。
必死に自分を押さえ付けて我慢して、
そうでもしないと今まで保ってきた均衡が崩れそうだった。
均衡を崩してさえしてしまえば、自分を押さえる術などないだろう。
菜舞露を壊して、壊して、
壊すことしか俺はできない気がする。
もしかしたら違うようにもできるかもしれないが、きっと一度は壊してしまう。
壊してしまいたいほど俺は菜舞露を思っている。