薬指~未来への誓い~
私はパッと目を見開き思い出す…


『彩っ!!!!!』


いつも強がって、私にも弱音なんてたまにしか言わないけど


私知ってるもん!!!


本当は私より泣き虫で私より甘えん坊で私より寂しがりな彩を


私が1番知ってるもん!!!


絶対に彩は今、不安で…悲しくて…苦しくて…寂しくて…泣いてる!!!




私が呆然としてる場合じゃない!!!

彩のとこ行かなきゃ!!!
行かなきゃっ!!!!



『成瀬…???』

『せんせ…?私、早退する…』

『はっ?』



いきなり早退を申し出る私に、あっけにとられる先生。




『彩のとこ行かなきゃ!!!』

『おい!!成瀬待て!!!』



勢いよく職員室を飛び出した私に先生が叫ぶ。

『説教なら明日聞きます!!!!』


そう、説教くらいなら後でいくらでも聞くよ!!!!


今は…彩の事しか考えられない!!!



私は教室に戻ることもなく、職員室から飛び出し下駄箱に行き、靴を履き替え全力で走った。




………おじさん!!!!




………彩っ!!!!!


< 57 / 235 >

この作品をシェア

pagetop