薬指~未来への誓い~
最後に、
おばさんと彩の手により花が手向けられた…。




おばさんは気丈に涙をこらえながら、おじさんの頬に手をあて優しく微笑んだ。



あぁ…そうか
これが現実なんだ…。





『おとぉさん……』



その瞬間…
彩の枯れた声が会場内に響き渡った気がした…――







お棺の蓋が閉められ霊柩車へと運ばれる。



私たちはここまで。




喪主のおばさんが挨拶をしている間、彩は隣に伏し目がちに立ち尽くしていた。



おばさんと彩は参拝者に一礼をし、親族は車へと乗り込んでゆく。




『お母さん、彩のとこ、行ってきていいかな…』




私は…車に乗ろうとしてた彩の姿をそのまま黙って見送る事が出来ない。



震えたままの握りこぶしがほどけないんだよ…。





『今はやめなさい…』


お母さんは止めたけど…

そんな静止を後にして
私の足はもう彩の方へ向かっていた…。





あ……今気付いた。

彩の事だと誰の静止も受け入れないんだな、私…。




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