Blood smell 2
物音一つしない薄暗い廊下


石造りの壁に四方を囲まれたそれは
いつの間にか
立派な彫刻の施された
屋敷の回廊に変わっていた



一定の間隔背並んだ窓から
外の景色が見えたが


そこには
私の知ってる物はなく


靄に包まれた
ヨーロッパの街並みが広がっている


ここは
人間の住む世界じゃない
一瞬でそう感じ取れた



そして
ダンは
高い天井まで伸びる
大きな扉の前を開ける


その瞬間

一気に背筋が凍りついた

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