Blood smell 2
やっとも思いで
玉座の前にたどり着く

ダンは振り返って
「跪け。」

と吐き捨てるように言うと
すぐに下がって行った



私は言われた通りに
玉座の前に跪く


「面を上げろ人間…。」


今まで聞いてどんな声よりも
深く響く
そして、絶対的な力を感じさせる声が
頭上に響いた


震えながらも
ゆっくり顔を上げる


声の主は金髪の方で
その赤黒く濁った瞳が
興味深そうに私を見下ろしている

いろんな動物の瞳を見たけど
そのどれにも属さない
恐ろしく、禍々しい瞳…


捕えられて動けないでいると
金髪の男は
鼻で笑って私に手のひらを突き出した


その瞬間
腹部に激痛が走る


まるで内臓を焼かれているみたいで
口からは声にならない声が漏れた


「ぅぅあ…!?」
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