Blood smell 2
修二の目の前に出された
一枚のしおり


そこには
見慣れた筆跡の文字が並んでいた






『修二と出会えて幸せだったよ。
幸せになってね。

ずっと愛してるよ。
冴』



読み終えた瞬間に
修二の視界が涙でゆがんだ


『約束だよ。
どんなに辛くても何があっても
私の為に生きて。』


耳に響いたのは
冴の約束


もしかしたら
冴はこうなる事を
わかっていたのかもしれない


あんな約束…
少しおかしいとは思っていた


思っていたのに

安易に約束するんじゃなかった

最後の最後にやられたよ…


「冴…。」

『修二!』

「さ…え…。」

『修二、大好き。』

冴…



冴…



さ…え…


修二の流した涙は
鋼鉄の床に乾く事のない染みを作り



月はその姿をただ照らしていた
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