Blood smell 2
修二は小さな窓に上った月を見ていた

冴は今頃何をしてるか


ダンの事だから
きっと上手くやってくれてるはず


その時

鉄のドアから
ダンが静かに入ってきた



「ダン…?
冴は?彼女はどうなった?」


修二の問いに
ダンは一枚のしおりを差し出した


「あの人間は…死んだ。」


「は…?」


静かに言われた言葉を
修二は理解できなかった


「お前の言葉を伝えたが
あの人間は…

お前が人間だから好きだ。といってくれた
気持ちを大切にしたいと…

ヴァンパイアになって生きることを拒否し
自ら死を望んだ。」



「…。」


修二の中を衝撃が駆け抜ける
足元から力なく崩れ落ちた


冴が死んだ?!


自ら…死を望んだ…?


「う…嘘だ…。
嘘言ってんなよっ!!」


修二の怒鳴り声が虚しく
響く



「嘘じゃない。

お前に伝言を預かった。

約束は絶対に守れ。

そして
コレを…。」
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