魔法学園ユートピア
「そうか。

まぁ、亜紀は優しいからな。」

「それを言うのも幸大だけよ。」

「でも、俺は誰か一人を選ぶ気はない。」


「何で?」

「皆が本気で好きだからだ。」

「…そう。

結局は二股とかと同じレベルよね。」


「多分、二股の失敗例は隠れてこっそりするからだろ?

俺は堂々とやってる。


それに、

俺は選ばないけど、

お前らには選ぶ権利がある。

今じゃなくても、だ。

いつか、俺とは居れない。

そう思った時はそれで良いんだ。」

「…そう。」

「お前にも選ぶ権利があるんだ。

その時は遠慮なく言ってくれ。」

「お兄さん!」

奈都が幸大達を見つける。

「どうした?」

「皆が御飯にしましょう、って言うから探しに来ました。

お姉ちゃんも。」


「ああ。」

幸大がマットから降りる。

「ちょっ、幸大!」


ザパンッ、

片側にだけ体重のかかったマットが転覆した。


「ちょっと!

いきなり降りないでよ!」


「ゴメン、ゴメン。


ほら、行こうぜ?」


「…選べるわけないわよ。」

「ん?

何が?」

「プールから上がるから手を貸しなさいよ。」

「ハイハイ、どうぞ、お姫様。」

幸大が手を差し出し、その手に掴まり引き上げられた。
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