魔法学園ユートピア
校舎上空


「くそ!

でき損ないの魔法使いがよくも!」

「それは、俺のことか?」

「くくく、追ってきたのか?

馬鹿め!

ここを何処だと思っている!」


「ちょうど、中庭の上空だな。」

「ふざけているのか?」

「いや、ふざけてはいないけどな。」

「こんな真夜中、満月の日に、屋外で。


狼男が最強である条件下、貴様は死ぬ!」


「そうか。

今日は満月なのか。

月なんて、そんなに眺めねぇからな。


で、貴様は自分と俺の立ち位置、理解してるか?」


現在、中庭の上空、幸大は月に背を向け地面と平行に浮かび、

狼男は月を眺める位置にあり、彼も地面と平行。

互いに向き合う形。


「もう、でき損ないの魔法使いに遅れはとらん!」


狼男が爪を構えた瞬間。


ぶわっ


桜の花びらが狼男の視界を遮る。


「桜の花びら!?」


「悪いな。

でき損ないの魔法使いが生み出した桜は中庭の芝生にあるんだ。

俺と一心同体の桜がな。」


「たかが、目眩ましが、何になる!」


「俺の拳とお前の爪、

重力を、地球の引力を味方に付けた俺の方が強いよな。」


「たかが重力で、」


「そう。

例え、立ち位置が逆でも俺が勝つ。

鍛え上げた拳を見せてやるよ!」
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