マイ・シュガーランド



考えてみればおかしな事はたくさんあった。

電話はいつも彼からだった。
たまにわたしがかけても出ることは1度もなくて、「携帯なると迷惑だから困る」と、怒られたこともあった。

遠距離のとき、東京に来たわたしを自分のアパートに1度も入れさせてくれなかった。

いつも言いくるめられてラブホテルに泊まっていた。


そして、わたしは彼の仕事をよく知らない。
接客業だよ、と聞いてはいたけれど、どこで働いていたのかさえ知らない。

有給を消化しなくちゃいけないんだと、同棲していた期間ほとんど仕事に行っていなかった。



考えてみたら、おかしな事ばかり。


いや、考えなくても分かるはずなのに。


それくらい彼に夢中だった。

恋は盲目って言うけど、まさにそれだったんだ。




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