マイ・シュガーランド



夕方5時。



まだまだ柘植さんの帰ってくる時間ではない。



「…映画、みたいなぁ・・」


イブにぴったりなハッピーなやつがみたい。
けど、こんな日にひとりでレンタルショップに行くのはさすがに気が引ける。



寝る時と掃除するとき以外は入らないようにしている柘植さんの部屋。


そっと足を踏み入れる。


棚に並べられた大量のDVDや本。

床にも積み上げられている。


お笑いのものが多いけれど、洋画や時代劇、難しそうな経営や政治のものもある。



「・・努力家なんだなぁ…」


芸人っていっても、笑いだけじゃなくて色んな知識も持っていなければならないんだろう。


きっと、わたしには想像がつかないくらい努力して勉強して、今の柘植さんがいるんだろうな・・





「――――あ!」



何年か前に流行ったクリスマスシーズンぴったりの映画。



棚にあるDVDに手をかけようとすると、間になにやら写真が挟まっている。





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