あの気持ちをもう一度
「愛歌の浮気現場をみたからそれでちょっとイラついてたんだ」
少し驚いた顔から悲しそうな顔に変わった。
瞬矢はいつもそうだ。
人が悲しんでると自分も悲しむ。悲しんでるのを隠していてもだ。
そんな瞬矢が凄いと思ったし、羨ましいとも思っていた。
素直に感情を出すことを忘れた俺にとって素直に感情を出せたり、人のために泣いたり笑ったりできる人は手の届かない人だった。
でもそういう人を敬遠していた俺に瞬矢と拓也は話しかけてくれて
俺の気持ちをわかってくれたりした。
唯一無二の存在なんだ。なんて絶対本人たちには言わない。
「愛歌な…。あいつも寂しいんだろうけどな」
誰かを否定なんてしない瞬矢に拓也が言った。
「どんな理由にしろ、晴斗を裏切ったんだぜ!?マジ許せねー!」
瞬矢も拓也も俺のために怒ってくれたりする。
だから俺は冷静を保っていられたし、情けない顔をしないですんだ。
そんな経験がたくさんある。
「いいよ、別に。仕方ねーし」