時を分かつ
私は浮かれていたのかもしれない

デートだから

ただのデートじゃない

いつも、自分からは誘ってくれないのに、今回は彼から誘ってくれた


嬉しくて、だから、私は待ち合わせ場所に早く行きたくて


信号を走った

青信号だった

だけど、その瞬間―



交差点に不快な音が響く。

車のブレーキだ。

スポーツカーだ真っ赤な。

ここは交差点。

道幅も広い。

スポーツカーは黄色信号を走った。

運転手は行けると思ったんだろう。

交差点を直進。

交差点を横切る間に当然信号は色を変える。


赤になった。


横断歩道に差し掛かった。

渡りきりたかったスポーツカーは制限速度を越えるためアクセルを強く踏んでいた。


横断歩道の信号機は色を変える。

赤と言う色からの解放。

全てが動き出す色。


彼女も例外ではなかった。


そう…例外なのはスポーツカーだった。


全てを止める赤。

真っ赤なスポーツカーは動き続けた。



そして、少女は…

笑みを浮かべ走った少女の姿はなかった


ここにあるのは、



真っ赤なスポーツカーとまるで闇による侵食が始まったかのように黒ずんだ

<血>


そして、横たわる少女だった。


「…こう…だ…い」

一人の男を思い浮かべ、少女の体は休息を求めた。
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