時を分かつ
「あれ?

あそこにいるのは私?

じゃあ、私は幽霊?」

…。

「体がない。

幽霊ってこんな感じなのかな?


どうしよう。

私、死んじゃった。

…、どうしよう。

…どう…しよう。」

…。

「涙くらい出してよ!

何で死んだのよ!

死にたくない!

誰か!

お願い!

誰か!」

声ではない感覚が悲鳴を生み出す。

「まだ、死んでないわ。」

「誰?

私が見えるの?」

「私は神様ってところかな。」

「神様?

お願い!神様、私を助けて!」

「安心しなさい。

貴女はまだ死んでないわ。」

「え?」

「貴女は意思として存在しているの。」

「意思?」

「周りを見なさい。

いえ、正確には感じなさい、が正しいのかしら。


時間が止まっているでしょ?


貴女は今、世界という理から外れた存在。」

「じゃあ、助かるの?」

「残念だけど貴女は死ぬわ。」

「え?」

「私には予知能力があるのよ。

神様だから。

車を轢いた人は錯乱して、取り乱す。


周りの人は誰かが救急車をすでに呼んだと思っている。


だから、助けは来ないし、ここから病院までの間に貴女は手遅れになるわ。

直に貴女の時間が動き出すわ。」
「私、死んじゃうんだ。


ごめんね?

私、せっかく誘ってくれたデート行けないみたい。

ごめんね。」
< 2 / 17 >

この作品をシェア

pagetop