きみのうた
次の日、学校に行くとまだほとんど誰も居ない。
今日のあたしは目はぱっちり覚めてる。
昨日はあまり寝てないのに、全然眠くない。
まだ来ないのかなぁ?倉井君は。
「璃乃ちん!大変!大ニュース!」
教室のドアを思いっきり開ける智美。
「智美、ドア壊れるよ」
クスクス笑ってるあたしを無視して、声を落として言う。
「璃乃ちん、倉井が彼女にフラれたって」
「・・え?」
彼女にフラれた?
彼女って誰?
「彼女って・・・?」
あたしの声が震えてるのが自分でも分かる。
「それが1個上の先輩。あたしの友達が昨日一緒に帰るとこを見たらしいの」
「・・へぇー・・・」
「でも!他の友達がしょんぼりした倉井を見てたの!んでんで!次が衝撃事実!」
「ちょっ・・智美・・・」
智美を止めても話を止めない。
「その先輩が同い年の先輩とキスしてたとこを見てたの!やばくない!?」
「智美・・・」
遂に声を張り上げて言い出す智美。
バンッ
すごい音に体を震わすあたしと智美。
「・・・」
倉井君が鞄を地面に叩きつけた音だった。
そのまま無言で去って行く倉井君をあたしは追った。