夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
涼子さんはあからさまに頬を赤くして、とっさにうつむいた。


秋の風が、涼子さんの髪の毛をサラサラなびかせる。


あたしはかやの外だった。


入って行きたくても行けない空気が、そこにはあった。


あたしをちらりと横目で見て、都合悪そうに肩をすくめた涼子さんの横で、若菜ちゃんは笑う。


「涼子ね、夏井くんが入学して来てからずっとなのよ」


「ずっと?」


無表情で聞いた補欠の横顔を、あたしはただかやの外から見つめていた。


「そう。夏井くんのファンなのよ、ずっと」


ねっ、と若菜ちゃんが涼子さんに微笑みかける。


頬をぽっと赤く染めて、彼女は頷いた。


なんで、こうなるのさ。


ずるいよ、お涼。


相澤先輩と若菜ちゃんを味方に付けるなんて。


ずるいよ。


そんな強い味方つけられたら、あたし……。


呆然と立ち尽くす補欠の横顔を見ているのが嫌で、これ以上見ていられなくて、


「どいて」


と健吾を押しのけて、あたしはパイプ椅子に座って補欠に背を向けた。


「おい、翠」


いいのか、と小声で言った健吾を無視して、あたしはポケットから携帯電話をひっこ抜いた。


いいわけ……ないじゃん。


でも、補欠の彼女でも何でもないあたしには、どうすることもできない。


そんな権利なんてないんだと思う。


クラスメイトたちの視線が、店先一点に集中していた。


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