夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
あたしだけ、見て。


真っ赤になって固まる補欠を睨んでいると、不意に涼子さんと目が合った。


先に反らしたのは、あたしだった。


「でね、夏井くんにお願いがあるの」


「はあ……何ですか」


「涼子と友達になって欲しいのよ」


手の力が一気に抜けて、携帯電話を落としそうになった。


「わっ」


あたしは携帯電話をしっかり掴み直して、若菜ちゃんを見つめた。


何で……若菜ちゃんがそんなこと言うの。


何で……自分で言わないの……お涼。


「これも何かの縁だと思ってさ。アドレス、交換してあげてくれないかな」


視線を感じて見てみると、相澤先輩が不思議そうな目をしてあたしを見つめていた。


何……先輩まで。


何でそんな目で見てくるの。


あたし、今……どんな顔してるの。


……分からない。


あたしはとっさに相澤先輩から目を反らして、唇を噛んだ。


補欠。


アドレス、交換したりしないで。


涼子さんに教えないで。


「ね、夏井くん! 今、彼女いないでしょ? お願いよ」


「彼女はいませんけど」


心臓がおにぎりみたいに握りつぶされて、小さく小さく固められていく。


痛くて痛くて、苦しい。


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