夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「翠ちゃん。あたしね、今日、あゆの写真集持って来てるの」
花菜ちんは言った。
「暇なら、うちらの教室で一緒に見ない?」
助かった。
「行く行くー!」
ちょうど良かった。
できることなら、一刻も早くここから離れたいと思っていたところだったから。
健吾とブツブツ話し込みながらキャベツを刻む補欠の背中を叩く。
「補欠! しっかりキャベツ刻めよ」
その瞬間、あたしは息をのんだ。
「うるせえな!」
目が飛び出るかと思った。
補欠は振り向きざまにあたしの左手を思いっきり振り払って、大きな声を上げてあたしを睨んだ。
「触るなよ! 早く行け!」
振り払われた左手がビリビリ痛い。
あたしは息を止めたままとっさに左手を引っ込めた。
補欠の目が引っ張られたように鋭くつり上がっていた。
「お……おいおいおい。響也……」
唖然として、健吾が立ち尽くす。
ようやく息をした時、補欠はもう、あたしを見ていなかった。
補欠の背中に、あたしは言った。
「何よ……なんでそんなキレてんの」
あたしが勝手に携帯電話渡したりしたから?
でも、交換してたじゃんか。
なのに、なんでそんなにキレてんの。
意味が分からん。
アドレス、交換してたくせに。
補欠はあたしに背中を向けたまま、怒鳴るように言った。
「知るか! つうか、早く行けよ! もう来るな」
ああ、もうだめだ。
そう思った。
あたし、とうとう、補欠に嫌われたんだ。
あたしは携帯電話を握り締めた。
花菜ちんは言った。
「暇なら、うちらの教室で一緒に見ない?」
助かった。
「行く行くー!」
ちょうど良かった。
できることなら、一刻も早くここから離れたいと思っていたところだったから。
健吾とブツブツ話し込みながらキャベツを刻む補欠の背中を叩く。
「補欠! しっかりキャベツ刻めよ」
その瞬間、あたしは息をのんだ。
「うるせえな!」
目が飛び出るかと思った。
補欠は振り向きざまにあたしの左手を思いっきり振り払って、大きな声を上げてあたしを睨んだ。
「触るなよ! 早く行け!」
振り払われた左手がビリビリ痛い。
あたしは息を止めたままとっさに左手を引っ込めた。
補欠の目が引っ張られたように鋭くつり上がっていた。
「お……おいおいおい。響也……」
唖然として、健吾が立ち尽くす。
ようやく息をした時、補欠はもう、あたしを見ていなかった。
補欠の背中に、あたしは言った。
「何よ……なんでそんなキレてんの」
あたしが勝手に携帯電話渡したりしたから?
でも、交換してたじゃんか。
なのに、なんでそんなにキレてんの。
意味が分からん。
アドレス、交換してたくせに。
補欠はあたしに背中を向けたまま、怒鳴るように言った。
「知るか! つうか、早く行けよ! もう来るな」
ああ、もうだめだ。
そう思った。
あたし、とうとう、補欠に嫌われたんだ。
あたしは携帯電話を握り締めた。