夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「ん?」


あたしが首を傾げると、花菜ちんはハッとした様子を見せて、ううんと小さく微笑んだ。


何だ……へんな子じゃ。


相澤 花菜(あいざわ かな)


花菜ちんは、補欠が尊敬してやまぬ相澤隼人の妹だ。


同じ一年生で、野球部のマネージャーをしている。


球技大会の日、教室へ戻る途中、廊下で突然声を掛けてきた人懐こい女の子だ。


―一年B組の吉田翠ちゃん!


―ぬっ……


―南高野球部に入って、4番になりませんか?


―誰だ、名を名乗りたまえ


―相澤花菜!


―花菜、ほう


―あたしと……響也と一緒に甲子園目指しませんか!


なーんてね、と初対面で花菜ちんはゲラゲラ笑ったのだ。


花菜ちんは黒髪ボブが非常に似合う、イケメン兄貴によく似た整った顔立ちの美少女だ。


なのに、鼻にかけることなくサバサバした性格の女の子だった。


特にそのストレートにものを言うところに、惹かれた。


―翠ちゃん、響也のこと好きでしょ!


―よく分かったな! 大好き!


―やっぱりね!


あたしと花菜ちんが急激に仲良くなったのは、言うまでもない。


初めて会話した瞬間に、何かがカチリとハマったのだ。


今では部活の後に駅前で待ち合わせたり、お互いの家を行き来するくらい、仲良くなった。


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