夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「……なっ」


補欠がよろけて、一気に真っ赤になった。


ヒュウヒュウ、仲間にひやかされる補欠に背を向けて、あたしは教材室に引き返した。


一体、あっこの気持ちに何があったってんだい。


あたしと補欠が出たあとの教材室で、ふたりに何があったんだ。


とにかく、今、確実にあっこは泣いているだろう。


そう思ったから、静かに確かめるように、


「あっこ?」


教材室を覗いたのに。


「あ! 翠ちゃん」


拍子抜けしてしまった。


「もう。みんな薄情なんだから。これ、直すの手伝って」


だって、いつもと何も変わらないキュートな笑顔で。


あっこは元気いっぱいに崩れたダンボールを、テキパキと積み重ねていたのだから。


てっきり泣いていると思ったから。


だから、拍子抜けした。


「翠ちゃんてば」


「……へい」


「突っ立ってないで、手伝ってえ」


背の低いあっこが爪先立ちをして、ダンボールを重ねる。


「ああ! すまんすまーん」


ダンボールを奪ってトンと重ねると、あっこがキュートに笑った。


「うらやましいな。私も、翠ちゃんくらい背が高かったらなあ」


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