夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「ストップ! あっこ」


たまらなくなって、あたしはあっこの肩を掴んだ。


我に返ったのか、あっこがハッとしてあたしを見つめた。


「どうした。完全におかしいぞ、あっこ」


黙り込んだあっこに、あたしはストレートに聞いた。


「なんで撤回なんかした? 好きだって言ったのに。撤回したんだって?」


「健吾くんから聞いたの?」


あっこが都合悪そうに肩をすくめた。


あたしは頷く。


「撤回なんかしなくて良かったんだぞ。もうこの際だから言わせて頂くが、健吾もあっこのこと」


と言いかけた時、その先はあっこが言った。


「好きって言ってくれた。健吾くん」


「え……」


「おれも好きだって、言ってくれた。嬉しかった、すごく」


嬉しかった、と口では言っているくせに、表情は全然嬉しそうじゃない。


とても、悲しそうに見えた。


「けど、振られたって、健吾が言ってたけど」


好きな男に好きだって言ってもらえて、悲しい顔をする人間なんて居るのか。


不思議で不思議でたまらなくて。


あたしには理解できなかった。


同時に、あっこが両手いっぱいに抱えていた不安も苦しみも、分かっていなかった。


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