夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
フフ、と笑いを漏らしてあっこが口を開く。


「本当に言うつもりなかったのに。一生、言わないって決めてたのに。健吾くんに好きだなんて、言わないつもりだったのに」


古ぼけたすかすかのカーテンを突き抜けて、秋の薄い陽射しが狭い教材室に射し込んでいた。


「隕石が落ちて来たのかと思って」


クスクス笑って、あっこがダンボールを指差した。


「きっと痛いんだろうなって覚悟したら、ぜーんぜん痛くなくて。だって、目を開けたら健吾くんがかばってくれてたから」


陽射しが、わたぼこりさえをも輝かせていた。


「私、あんなふうに誰かに全身で守ってもらったことないから。嬉しくて」


「うん」


「だって、他の誰でもない健吾くんだったから」


微笑むあっこの目は涙で潤んでいた。


「もうあふれちゃって。気付いたら口から飛び出してた。好きって。言うつもりなかったのに」


「そんな好きなら、何で撤回したんだよ」


ぐっと何かを飲み込んで、あっこは話し続けた。


「迷惑なだけだから。健吾くんを困らせることになっちゃうから」


「迷惑なもんか。だって、健吾もあっこのこと好きなんだぞ。付き合えばいいじゃんか」


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