夏の空を仰ぐ花
「補欠はこのままでいいと思うか?」


あたしは荷台から飛び降りて、補欠の横に立った。


「ああ」


あたしが何を言いたいのか、補欠はすでに予想していたかのように、


「あっこのことだろ」


と呟いた。


ヒュウッと空っ風が吹いて、枯れ葉をコロコロ転がしていく。


「今日だぞ。あっこ、今日行っちゃうんだぞ」


「うん」


「うん、て。あたしは納得できん。だって、この1ヶ月、あのふたり明らかに避けまくってたべ」


少し考える仕草をして、補欠はうんと頷いた。


「あたしは納得できん!」


あたしは補欠の手を掴んだ。


「このまま、ギシギシした関係のままだなんて、あっこが可哀想だろ」


補欠が、真っ直ぐ、あたしを見つめてくる。


その優しい目を、あたしは睨んだ。


「補欠、言ったよな! 健吾は中途半端な男じゃねーって」


「言った」


「このまま終わりにだけはしねーって。あいつなりに答え出すだろって、言ったよな」


「言ったな」


無表情で、補欠は平然とした様子で頷いた。


なんで補欠は無駄に冷静なんだ。


「もう今日だぞ!」


じゃあ、これが、健吾の出した答えだっていうのか。


最後の最後まで、好きな人を避けまくって、ギクシャクした距離のまま、別れる。


これが、健吾の答えなのかよ。


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