夏の空を仰ぐ花

なごり雪

この際だから、白黒付けようじゃないか。


はっきり言って、あたしは素直じゃない。


たっぷりの純白の霞草。


【感謝】


はっきり言って、強情で意地っ張りの見栄っ張りで、跳ねっ返りだ。


カトレア。


【あなたは美しい】


本当は好きなくせに、嫌いだと言ってしまう。


そうやって16年も生きて来たのだ。


今更直せと言われても、そう簡単には……。


二輪のエーデルワイス。


【大切な想い出】


だけど、せめて、最後くらいは。


言葉にするのはどうも柄じゃないし、照れくさくてたまらないから。


こんな形で悪いけど。


せめて、何らかの形で伝えたいものだ。


そう思ったから。


五本のスイートピー。


【門出、青春の喜び】


お年玉の残りをつぎ込んで、大きな花束に全てを詰め込んで贈ることにしよう。


そして、最後に、真っ白な一輪の薔薇を。


【あなたを尊敬します】


たったひとつの花束に、跳ねっ返り娘の想いをぎゅうぎゅう詰めにして、あなたに。


「翠ー。どこ行くんだよ」


大きな花束を抱えて教室を飛び出すあたしに、結衣が声を掛けてきた。


それぞれ、お世話になった先輩のところへ向かい、人もまばらな教室。


「3年の教室」


「んなでっけえ花束、誰にくれてやるんだよ」


明里が面白可笑しそうに見つめていた。


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