夏の空を仰ぐ花
明るい茶色のやわらかそうな、ふんわりショートヘアー。


小顔に輝く、でっかい目。


ほんのり紅いリップ。


スタイルの良さを際立たせる、純白のエレガントスーツ。


とてもじゃないが、3人も子供を産んだ女とは思えない。


「あらっ、今日もいい男っぷりねー!」


と母は急に可愛らしい顔になって、仏壇に手を合わせる。


母は、今でも父に恋をする乙女だ。


「たっちゃん。本日、快晴。娘は女子高生。しかも、南高。母子ともども、全力で生きとります!」


心配無用! そう言って、母は豪快にりんを鳴らした。


カアーン!


父は、去年の晩秋に、交通事故で突然この世を去った。


その日は、あたしの誕生日だった。


吉田 達明(よしだ たつあき)。


父は30歳という若さで、この世を去った。


でも、位牌の中の父はやっぱり笑っていた。


「さて、娘よ」



すっと立ち上がり、母が可憐に微笑む。


「そろそろ出陣だな。式に遅れるぞ」


「イエース!」


あたしも立ち上がった。


「Go to the ,Minami high school!」


4月3日。


只今の時刻。


AM 9:00



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