夏の空を仰ぐ花
嘘でも真でも、もうどっちだっていい。


どっちにしろ、運命なんだと思う。


補欠に出逢ったのも、恋に落ちて彼女になれた奇跡も。


生まれて来た時にはもう、決まっていた運命なんだと思う。


あたしたちの恋が運命だというのなら、じゃあ、これもまた運命だと思った。


病気になってしまったことも、あたしが生まれた時にはもう決まっていた運命だったんじゃないかと思う。


それならば仕方あるまい。


運命なら、どうにもならん。


受け入れるしかないだろう。


不安になったって、どうにもできない。


運命だから。


もう、大丈夫。


心配かけてごめん、補欠。


ただ、ちょっとばかし受け入れるまで時間がかかってしまっただけの事だ。


だって、まさか、天下無敵のこのあたしにこんな日が来るなんて、思ってなかったから。


だけど、今、受け入れる覚悟ができた。


補欠がそう言ってくれた瞬間に。


「翠がいないと、生きてけねえや」


何も言えなかった。


ただ、補欠にしがみついて泣いた。


悲しかったからじゃない。


嬉しくてたまらなかったから。


幸せすぎて、どうしたらいいのか、分からなかった。






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