夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「翠さんの場合、場所が場所だけに全てを摘出する事ができず、部分摘出になってしまったものですから」
そこからまた、細胞が拡大して脳内の圧迫を始めてしまったらしい。
「それじゃあ、また、手術ということになるんでしょうか?」
聞きながら、母が肩をすくめる。
あたしの事で小さくなる母なんて見ていられなくて、そっと目を伏せた。
今日は珍しい事に部活が休みになった彼の家に半ば押し掛けたあたしは、補欠が買い出しに行った直後、意識を失い倒れてしまった。
助けてくれたのは、あたしの病気を知る貴司と洋子だった。
救急車に乗って同行してくれたのは、洋子だった。
意識が回復した時はすでに固いベッドの上で、毅然とした様子の母と涙目の洋子が、あたしを見つめていた。
「ぷはっ……やってらんねえよ」
ふたりの顔を見た時、もうばかばかしくて、笑うしかなかった。
手術してもこんな事の繰り返しじゃ、どうにもならんよな。
こんな事の繰り返しが、この先ずっと続くのかと思うと、自暴自棄になる他なかった。
「洋子さん」
母が、洋子に頭を下げる。
「ご迷惑おかけして、すみませんでした。本当に助かりました」
「何が迷惑なの。いいのよ、私は。それより、響也よ。何やってんのかしら、あのバカ」
もうどうでもいいや、となげやりに窓の外を眺めていると、都合悪そうに入って来たのは貴司だった。
「ダメだな。携帯に掛けても繋がらない。どこほっつき歩いてんだ、あのバカは」
洋子に買い出しを頼まれて出かけて行った補欠。
帰って来た補欠は事態を把握するなり、貴司に暴言を吐いて雨の外へ飛び出して、自転車ごと姿をくらましてしまったらしい。
あの、やわらかくて物静かな補欠が暴言だなんて、信じられなかった。
貴司がせわしなく動きまわる。
「どこで何やってるんだ、こんな時に」
こんな時だからだろ、と心の中でぼやいて、あたしはベッドの中で外だかり見ていた。
今日は朝から雨が降っていた。
でも、次第に西の空が明るくなり始めて来た。
そこからまた、細胞が拡大して脳内の圧迫を始めてしまったらしい。
「それじゃあ、また、手術ということになるんでしょうか?」
聞きながら、母が肩をすくめる。
あたしの事で小さくなる母なんて見ていられなくて、そっと目を伏せた。
今日は珍しい事に部活が休みになった彼の家に半ば押し掛けたあたしは、補欠が買い出しに行った直後、意識を失い倒れてしまった。
助けてくれたのは、あたしの病気を知る貴司と洋子だった。
救急車に乗って同行してくれたのは、洋子だった。
意識が回復した時はすでに固いベッドの上で、毅然とした様子の母と涙目の洋子が、あたしを見つめていた。
「ぷはっ……やってらんねえよ」
ふたりの顔を見た時、もうばかばかしくて、笑うしかなかった。
手術してもこんな事の繰り返しじゃ、どうにもならんよな。
こんな事の繰り返しが、この先ずっと続くのかと思うと、自暴自棄になる他なかった。
「洋子さん」
母が、洋子に頭を下げる。
「ご迷惑おかけして、すみませんでした。本当に助かりました」
「何が迷惑なの。いいのよ、私は。それより、響也よ。何やってんのかしら、あのバカ」
もうどうでもいいや、となげやりに窓の外を眺めていると、都合悪そうに入って来たのは貴司だった。
「ダメだな。携帯に掛けても繋がらない。どこほっつき歩いてんだ、あのバカは」
洋子に買い出しを頼まれて出かけて行った補欠。
帰って来た補欠は事態を把握するなり、貴司に暴言を吐いて雨の外へ飛び出して、自転車ごと姿をくらましてしまったらしい。
あの、やわらかくて物静かな補欠が暴言だなんて、信じられなかった。
貴司がせわしなく動きまわる。
「どこで何やってるんだ、こんな時に」
こんな時だからだろ、と心の中でぼやいて、あたしはベッドの中で外だかり見ていた。
今日は朝から雨が降っていた。
でも、次第に西の空が明るくなり始めて来た。