夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
春も夏も秋も、冬も。
ひたすら、甲子園を目指して練習に打ち込んで来た彼らを知っているだけに、涙を堪えずにはいられなかった。
校歌を歌い終えた選手たちが応援スタンドに向かって一列に並び、
「ありがとうございました!」
大喝采の中、眩しい笑顔のままベンチへ戻って行く。
その集団の中を抜け出してこっちに向かって来たのは、補欠だった。
「お、何だ? へんなやつが来たぞ」
そう言って、先輩がクスクス笑った。
「翠!」
降り注ぐ陽射しが、その瞳を輝かせていた。
「翠! 翠!」
流れる雲が、太陽を遮る。
涙があふれて止まらなくなった。
まさか、補欠が来てくれるなんて思ってなかったから。
仲間の輪を飛び出して、あたしのところに来てくれるなんて……。
嬉しくて、だけど、抱きしめる事もできないのが切なくて。
「ごめんね……ごめん」
ただフェンスにしがみついて、
「響也っ……」
名前を呼ぶことが今のあたしに出来る精一杯で。
何もしてあげる事が出来なくて。
「響也」
だけど、あたしは笑った。
補欠の太陽になりたくて。
笑えば、補欠も笑ってくれるような気がしたから。
「翠……」
補欠が眩しそうに目を細める。
そして、背中をしゃんと伸ばして、補欠は言った。
「吉田……翠!」
ひたすら、甲子園を目指して練習に打ち込んで来た彼らを知っているだけに、涙を堪えずにはいられなかった。
校歌を歌い終えた選手たちが応援スタンドに向かって一列に並び、
「ありがとうございました!」
大喝采の中、眩しい笑顔のままベンチへ戻って行く。
その集団の中を抜け出してこっちに向かって来たのは、補欠だった。
「お、何だ? へんなやつが来たぞ」
そう言って、先輩がクスクス笑った。
「翠!」
降り注ぐ陽射しが、その瞳を輝かせていた。
「翠! 翠!」
流れる雲が、太陽を遮る。
涙があふれて止まらなくなった。
まさか、補欠が来てくれるなんて思ってなかったから。
仲間の輪を飛び出して、あたしのところに来てくれるなんて……。
嬉しくて、だけど、抱きしめる事もできないのが切なくて。
「ごめんね……ごめん」
ただフェンスにしがみついて、
「響也っ……」
名前を呼ぶことが今のあたしに出来る精一杯で。
何もしてあげる事が出来なくて。
「響也」
だけど、あたしは笑った。
補欠の太陽になりたくて。
笑えば、補欠も笑ってくれるような気がしたから。
「翠……」
補欠が眩しそうに目を細める。
そして、背中をしゃんと伸ばして、補欠は言った。
「吉田……翠!」