夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
あたしはその横顔に夢中になった。


「なんだ。結局、高校でもケンゴと同じクラスか」


ぽつりとこぼして、くすぐったそうに、彼ははにかむ。


なんじゃこりゃ。


あたしはとっさに胸を押さえた。


心臓に、得体の知れない矢が突き刺さる。


体中を、凄まじい速さで高熱が巡り巡った。


その横顔を見つめながら、あたしは息をするのも忘れて立ち尽くした。


床に、上履きの底が張り付いて剥がれない。


これじゃ、とりもちにかかったバカなねずみだ。


「なんだって事はないだろ。本当はおれと一緒のクラスで嬉しいくせに」


だろ、キョウヤ、とやかましい男が“キョウヤ”の脇腹を肘で突いた。


「いてっ」


「B組だってよ。行こうぜ、キョウヤ」


“ケンゴ”が何度も人に接触しながら、人ごみを掻き分けて行く。


カシャン、と音がした。


人ごみを掻き分けて行く際に、ケンゴが携帯電話を落とした。


「あ……おい、ケンゴ」


気付いた“キョウヤ”が床から黒い携帯電話をすっと拾って、


「携帯、落としたぞ」


左手を高く突き上げた。


え……左利き。



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