夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
ハッとした時、ケンゴが振り向き、数メートル向こうでニヤリと笑みを浮かべ、


「ヘイ、キョウヤ」


そして、右手を突き上げた。



でっかい手のひらだ。


「スライダー」


ケンゴが言った。


スライダーって……何だ?


ふたりのやり取りを見ていると、


「そう来るか」


キョウヤが目を輝かせた。


「落とすなよ」


そう言って、左手で、携帯電話を向こうにぽーんと投げた。


ひとごみの上空できれいな弧を描く、黒い携帯電話。


あたしは息を飲んだ。


ビリ。


本当に一瞬の出来事だった。


体に、強烈な稲妻が落ちた。


黒い携帯電話はブレることなく弧を描き、吸い込まれるようにケンゴの右手の中にストンとおさまった。


右手でぎゅっと携帯電話を握りしめ、


「ストラーイク」


とケンゴが白い歯をこぼした。


「ほら、早く行こうぜ、キョウヤ」



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